年齢の若さに、価値はあるか
最近、本を読むのが好きになった。
昔はじっと座って活字を読むのが大嫌いだったけど、歳を重ねるとそんな落ち着いた時間も良いものだと感じる。
さて、手に取ったのは今は亡き精神科医、斎藤茂太先生の著書〝「あなたに会うと元気になる」といわれる人〟(講談社.2018)である。
斎藤茂太先生の人生の発見がたくさん詰まったこの本であるが、そこで『「若いことに価値がある」という意識』について触れているページがあった。
僕なりに要約すれば、
「もう年だから、という言葉は〝いえいえお若いまだまだこれからですよ〟という言葉を待つものであり、流行遅れである。五十歳ですがまだまだこれからです、と笑い飛ばす姿が生きてゆく態度として最新のものだ」
とのこと。
職場で、30歳になるが学生かと思うぐらい若々しい主婦の方がいる。
よく笑い、よく話す。
45になる主婦の方もいるけど、同じくよく笑いよく話す方で、はしゃぐ姿もまた愛らしくとても若い。
こうしてみると、肉体的に若いということよりも、精神的に若い(エネルギッシュである)ということの方が価値のあることのように思える。
よく年上の方からは、若さは武器だ、いいね、なんて言われる。
たしかに、肉体的な運動量や脳内の処理速度の速さなど、肉体的な若さによるアドバンテージというものは確かに存在するだろうけれど、そんな失われゆくものの価値にばかり頼っているのは、なんともはかないものだと感じる。
歳をとって気付けば、昔の自分をいつまでも引きずる後ろ向きな男になっているかもしれない。
それよりも、精神的に若い、という方がより価値が高いのでは、思う。
2年前に小学校の同窓会をした。
そこで卒業ぶりに会う友達から、おじいちゃんになったねと言われた。
そのときは流したが、今思い返せば、僕が精神的に悪い方に老いていたことに気付いていたんだと思う。
肉体的にまだ若くとも、気持ちのフレッシュさを失ってしまえば、ただ周りに心配される人になってしまうのかもしれない。
自分の好きなことを大切にし、好奇心を常に持ち続け、自分の気持ちをいつでも素直に表現できる純粋さを持ち続けようとしている人。
そんな人はただいるだけで周りの人を勇気付けるし、そんな若さを意識的に大切にしようとしている人は、年月を経ても昔と変わらないね、なんて言われるのではないだろうか。
年相応の振る舞いをするべき……なんてそんなことはきっとない
いつまでも自分らしさを大切にできる人がいつまでも若いエネルギーに溢れた人であり、人を惹きつけて幸せにできる人なんだろうと思う。
年齢の若さに価値はある。
でもきっと、気持ちの若さの方がずっと価値がある。
今は出先だけど、僕も帰ったら好きなことして、まだ知らない新鮮さをいっぱい発見しよう!